小惑星探査ロケット〜
文部科学省・宇宙科学研究所の小惑星探査衛星「MUSES−C」は5月9日13時29分、鹿児島宇宙空間観測所(鹿児島県内之浦町)から打ち上げられ、その後ロケットは順調に飛行し、探査機が予定通り、小惑星「1998SF36」への軌道に乗り、各種機器が正しく動作していることなども確認されました。
そしてこの時点で「MUSES−C」は「はやぶさ」と名付けられました。
「はやぶさ」は宇宙の歴史を少し解明してくれるかもな、小惑星の組成サンプル[表面の砂や岩石の破片(計約1グラム)]を採取して帰るという、世界でも最高水準の宇宙探査ミッション機です。衛星は今後約2年かけて小惑星「1998
SF36」に到達し、小惑星表面のサンプルを採取、その後、再び地球に戻ってくる予定(2007年6月)となっています。他の天体から物質を持ち帰るのは、米国の月探査機「アポロ」(72年の17号まで)以来となります。
かかった費用は、ミューゼスCの開発費が127億円、ロケットは68億円となっています。
[小惑星「1998SF36」]
「1998」は、星が見つかった年を表しています。次の「S」は発見された月を半月ごとに示す記号で、1月前半をA、1月後半をBと数えていくそうです。「I」は「1」とまちがえるのではずし、19番目のSは9月後半を意味するそうです。
「F36」は、9月後半に発見された星の順番で、906番目という意味です。アルファベットをAからZまで数え、次にA1からZ1、次はA2からZ2と数え続けていくと、906になるそうです。
「1998SF36」は、長さ約500メートル、幅約300メートル。小惑星は主として火星と木星の間の小惑星帯に分布。引力が小さいため、他の天体との衝突などの変成が少なく、地殻変動を受けていない可能性が高く、形成された当時の情報が多く残っているとされています。砂や岩石から、太陽系誕生のなぞを解明するのが目的です。地球から約3億キロ離れています。「星の王子さま」の故郷らしい。
[小惑星の岩石を持ち帰るという目的の達成には、すごい設備が多く搭載しされている〜]
はやぶさは燃料効率がよくて長持ちする「イオンエンジン」を搭載しています。すでに静止衛星の軌道の微調整に使われているが、主エンジンに使うのは世界で初めてです。イオンエンジンは、マイクロ波によってキセノンガスを電離し、それを強力な電場で加速、高速噴射させて進みます。推進力は小さいが、エネルギー効率が化学推進エンジンの10倍も高く、しかも長時間連続で加速できるため、小型探査機の惑星間空間の長旅に適しています。探査機の主エンジンに使われるのは初めてです。MUSES-Cには、地上で18,000時間に及ぶ連続運転試験に成功したエンジンを4つ搭載しています。
2005年6月に小惑星に到達後は、地球からの指令を受けずに小惑星に接近・着陸します。この自律システム(自分で考えて動くようにも作られています。とても遠いところに行くので、地球から電波で指示を出しても20〜30分かかるので、電波誘導だけで探査天体に接近させることは難しい。そこで航法用カメラや各種センサを搭載して、背景の星空や太陽と地球の方向から自分の位置を割り出し、自らの判断で小惑星に近づいていきます。また試料採集の際には、カメラ画像を同時処理して特徴的な地形を判断しながら、レーザー高度計、近距離センサ、衝突防止センサなどを駆使して、安全に降下します)や、小惑星の岩石を採取する作業(「1998SF36」は、物を引きつける重力が地球の10万分の1もありません。支えるものがないので、ドリルで穴をあけようとすれば、反動でドリルの方が飛んでしまいます。そこで、はやぶさは、星の近くまで行って、重さ5グラムの金属(きんぞく)の球を秒速300メートルでぶつけ表面を砕く。そこから放出される破片を、探査機の下に伸びた長さ1メートルの円筒型の試料採集装置で集めて、探査機内部の専用容器に導く。試料採集を終えて再び上昇するまで、わずか1〜3秒の早技である。こうした採集を小惑星上の異なる数箇所で行います)も、初の試みです。
小惑星表面での摩擦の反力を使って、微小重力環境でも移動できる小型のホッピングロボット「ミネルヴァ」を、IHIエアロスペース社と共同研究し、地形の立体画像の取得や表面の温度測定も試みます。
[どんなロケット〜?]
M5ロケット。宇宙科学研究所が科学衛星打ち上げ用に開発した4段エンジン式ロケット。固体燃料を使うロケットとしては世界最大級。全長30・8メートル、直径2・5メートル、重量140・4トンで、ミューゼスCと呼ばれるたて2メートル、横1メートル、はば2メートルの探査機を積んでいました。これまでに3機が打ち上げられ、電波天文衛星「はるか」(1号機、97年2月)や火星探査機「のぞみ」(3号機、98年7月)の打ち上げは成功したが、00年2月の4号機は第1段噴射口(ノズル)の故障が原因で失敗した。
5号機は太平洋上空を東に向かって上昇。約10分後、高度約480キロではやぶさを切り離しました。その後、はやぶさの電源となる太陽電池パドルが開き、岩石採取用の筒が伸びるなど、順調に作動を続けている。
担当:しまけん